| 2000/09/05発行 No.006 |
| ◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇ あなたもダンディーになる ◆文二郎帽子店通信 ◆ 00/09/05 No.006 ◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇*◇◇ 9月になりました。いよいよ秋です。 皆さん夏の疲れは出ていませんか? 夏の帽子も疲れを取り、来年もう一度活躍してもらうために、 そろそろ本格的に手入れをする時期にきました。 ==============CONTENTS================ ◆夏の終わりの帽子の手入れ ◆帽子の変遷 ハードからソフトへ ====================================== ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆夏の終わりの帽子の手入れ◆◆ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ 夏の大敵はナント行っても汗でしょう。そのまま放っておくとすっ かりシミになり、気が付いた時にはもう手遅れ、ということも。 洗濯が出来ないので、その都度こまめなお手入れを心掛けたいもの です。 パナマは天然のものですから、色も徐々にあめ色に変化しますし、 劣化も少しづつ進みます。何十年も持つものではありませんが、 「お手入れ」をこまめにするのとしないのでは「持ち」は確実に 違ってきます。 普段は帽子を脱いだらすぐ、軽くふいて汗や簡単な汚れを落とし、 日陰で風を通します。汗は染みになる前にこまめに拭きましょう… と言ってもこんなのムリですよね。気になるシミなどができるのは しかたのない事なので、次のようにお手入れしをしましょう。 水で濡らしたタオルをきつく絞り(←注意!)シミの部分を丁寧に拭き ます。裏もビン皮(汗止めのリボン、スベリ、スエットバンド)を起こ し、丁寧に拭いておきます。その後もう一度乾いたタオルで水分を よく拭き取り、表のリボンのシワを伸ばし、全体の形を整えて風通し の良い日陰で乾燥させて下さい。 この場合は収納する時と同様に、逆さまにして下さいね。 (ブリムの変形を防ぐためにダンボールなどで輪を作り、その中にクラ ウンのトップがあたらない様に、浮いた状態にしておきます。) 汗臭い匂いなど気になる方は、最近発売されている繊維の匂い消し 「ファブリーズ」「will」など効果があるようです。その場合は裏か ら吹きつけて下さいね。 水拭きでも取れないガンコなシミなどはベンジンで拭いたり、漂白剤 を使ってもいいのですが、かえってシミが広がったりするので、なる べく専門家に任せた方がいいようです。 当店で買っていただいたお客様には往復の送料と、取り替えたリボン の実費でオフシーズンのメンテナンスをいたします。 ただこの場合は型直しも同時にいたしますので、2〜3シーズン経っ て、型が少し崩れてきてからでもいいかもしれません。 ほぼ最初の状態に戻りますので、ご遠慮なくお申し出くださいね。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆◆時代を超えて受け継がれていく帽子の数々◆◆ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ 時代と共に紳士の帽子の形は変化を遂げています。 形だけでなくその硬さも変化しました。 まず初めはハードなハットから、徐々に柔らかい感触のソフトハット へと変化を遂げました。 ================================================================ ◆◆ハードハット◆◆ ◇【トップハット】と【ボーラー】◇ ================================================================ ◇【トップハット】 ハードに作られたクラウンの高い円筒形の帽子。 素材はシルクやファーフエルト、リボンもシルクやフェルトなどで、 ビン皮(スエットバンド、汗止めバンド)は鹿革か麻が最高級品の証。 イギリス製の帽子を日本人が被ると前後があき、横が狭くて被れない など、硬い帽子なので頭の形に合わせることが第一条件です。 始まりは17世紀に流行した「ビバーハット」。 ビバーの皮で作られ、昼にはブラウンやグレーや白が、夜には黒が 使われました。ビーバーが絶滅の危機に瀕したため19世紀の初めに シルク素材で作られるようになったのが「シルクハット」です。 以来モーニングコートと縞ズボンと共に用いる紳士の正式礼装用と なりました。しかし現代では王室、皇室や社交的な大夜会以外で見る ことはないといってもいいでしょう。 時代ごとに流行があり、クラウンの高さ(15cm〜19cm)や、そりかえる ライン、ブリムのそり加減などさまざまに変化しました。 1823年にはパリでオペラ観劇の時に小脇にかかえて持ちこめるように、 折りたたみ式の「オペラハット」のようなめずらしいものまで登場し ました。 礼装用の他に競馬やクリケット観戦にも被られ、トップハットはまさに 紳士の帽子の代名詞だったのです。 ---------------------------------------------------------------- ◇参考◇ モーニングコートの着方 絶対に必要なのがサスペンダー。(フォーマルのパンツに ベルトは使用しない。)その次に白いポケットチーフと黒の ソックス。さらに手にはグレーのスエード製の手袋が正式 な装い。(白の布製で代用しても可) これらの他に、かってはトップハットとステッキが必需品 でありました。 ---------------------------------------------------------------- ◇【ボーラー】 これもハードに作られた、丸いクラウンと巻き上がったブリムが特徴の フエルト帽子。 「ボーラー」は英語。「ダービー」は米語。「ムロン」(メロンの意味) は仏語。日本では「山高帽」と呼ばれています。 1850年に英国の帽子屋「ウイリアム・ボーラー」がこの新しい形を作り 始め、この名がつきました。 もともとは英国の田舎で乗馬用の帽子として被られたもので、色はグレ ーや茶色・黒など。当時はブリムはまっすぐなものと巻きあがったもの がありました。その後街中や競馬場でも流行しましたが、1930年代に なるとすたれ始めました ================================================================ ◆◆セミハードハット◆◆ ◇【ホンブルグ】◇ ================================================================ ◇【ホンブルグ】 テーパードクラウン(先細りのやま)とセンタークリース(中折れ)、が一 番の特徴の帽子。ブリムは狭く強くそり返り、グログランリボンなどで 縁取りしてあります。 ホンブルグの由来は、ドイツの温泉地の名前から。 1889年当時の英国皇太子(後のエドワード7世)が、ホンブルグで密かに 流行っていたこの帽子を目にとめ、愛用するようになったことから広ま りました。 現在ではシルクハットに次ぐドレッシーな帽子で、黒か濃紺なら礼装用 のタキシードに合わせて被っても良いとされます。 英国のチャーチル首相がいつも被っていたのは、記憶に新しいところ です。 ================================================================ ◆◆ソフトハット◆◆ ◇【フェドーラ】【トリルビー】【ボルサリーノ】◇ ================================================================ ハードハットの略帽として登場し、普段用として広く普及したものを 総称して「ソフトハット」と呼びます。 19世紀末頃から流行の兆しをみせ、20世紀に入ってから定着したのが 柔らかいフエルトで作られた中折れのソフトハットです。軽い上に自在 に形を変えられる点で優れていたため、日常の帽子として大流行した のです。中折れと呼ばれるこの帽子が日本に入ってきたのは、明治6〜 7年頃のことです。 --------------------------------------------------------------- ◇【フェドーラ】ホンブルグが原型 こちらは1882年にパリで初演されたメロドラマ「フェドーラ」で人気 を博した帽子で、クラウンは低くセンタークリースでブリムは両脇が 高く巻きあがっていたものでした。 --------------------------------------------------------------- ◇【トリルビー】チロルハットが原型 1894年にポール・ポターによって劇化されたジョルジュ・デュ・モーレ の小説「トリルビー」で被られて人気が出ました。チロルハットより ブリムがソフトで広く反り返り、当時としては新しいタイプの帽子 でした。 【フェドーラ】と【トリルビー】はよく似ています。 一説にはイギリスでは【トリルビー】と呼び、 アメリカでは【フェドーラ】と呼ぶ、とも言われ、 またよく似ているが、わずかに【フェドーラ】の方がブリムが広い という別の説もあります。 --------------------------------------------------------------- ◇【ボルサリーノ】 「ボルサリーノ」は1857年創業のイタリアの帽子の名店の名前。 完成されたそのデザインはボルサリーノの名を世界に知らしめ、今や ソフトの代名詞になっているほどです。 1969年の映画で、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが主演 した『ボルサリーノ』で一躍世界的に名が知られました。 帽子の被り方のお手本にするには必見のものなので1度ご覧になれば いかがでしょう。 ドロンは正統派で、ベルモンドはサイドを少し上げてイキに…と両者の キャラクターそのものの被り方で楽しませてくれます。 ================================================================ ◆◆スーパーソフトハット◆◆ ================================================================ ボルサリーノの「ローラーハット」やハーバードジョンソンの「クラッシャ ーハット」に代表される、自由に形を変えられる柔らかい帽子。 素材は上質のファーなどで、ブリムの端は切り縁(断ち切り、ロウ・エッジ)、 リボンは細くシンプル、丸めて鞄に入れる事もできるものです。 クラウンの上部にくぼみをつけて中折れにも、フロントピンチをつけ ても、丸くへこませてパイ型にも、自分の好みの型に作って被り分ける のが楽しい帽子です。 ---------------------------------------------------------------- どの名称でも広義と狭義の意味があります。 「ボルサリーノ」に例をとれば、帽子の形か、帽子店の名前か、映画の 題名か、相手がどの意味で使っているか分かればいいことですよね。 いずれにしても意味が通じればいい…と私は思っているのです。 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ◆文二郎帽子店通信◆ 006号 2000/09/05(不定期発行) ◆発行責任者 ◆パナマ帽子の文二郎帽子店 ◆西川多加子 web@panamaya.com http://www.panamaya.com 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