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帽子を取るのはどんな時?
◆スーツをりゅうと着こなしたスマートな紳士が仕上げに帽子をかぶる・・・
 するとそのお洒落は完成する。
まさに帽子こそがダンディズムの象徴といえるものですね。

◆かってのヨーロッパでは紳士を見分ける方法として、こんな言い回しがあったそうです。
【もしその人物が家の中に入って来て、帽子を脱ぐようなら真の紳士。帽子を脱がないのなら紳士のふりをしている男。そして帽子をかぶっていない人物は、紳士のふりをすることさえあきらめている男】

19世紀末のイギリスのエチケットでは、帽子に関するものが沢山あり、知人に会った時はとる。女性の前では脱ぐ。車を運転している時に知人に会った時は持ち上げてみせるといったところです。もちろん今と昔では時代が違うので、これを当てはめることはできません。

◆では、今の時代に合う帽子のマナーとはどんなものでしょう?
人に会った時には、帽子を取って挨拶をする。少し離れたところに知人を見つけた時など、帽子に手をやりちょっと持ち上げてみるそんな行為は今はすたれてしまいましたが、女から見れば胸が熱くなるようなシャレタものです。

ヨーロッパなどの習慣では、たとえエレベーターの中であろうと男性の場合は、室内では必ず帽子を取らなければならない、というのがルールのようです。しかし、時代や生活がめまぐるしく変化する昨今、そのルールをそのまま適用する必要はなく、帽子を「脱ぐ」というのは「くつろぐ」という意味ですから、その大元さえ間違えなければ帽子はもっと自由に取ったりかぶったりしてもいいと思うのです。
とはいえ、キャップやニツト帽を食事中の室内でもとらない若者などはどうかとは思いますけれど・・・。

◆女性の帽子は服の一部とみなされ、たとえ室内であろうと、とらなくてよいといわれています。
でも畳の部屋に上がる場合、かぶったままというのはやはり違和感がありますよね。
そういう風に日本独自の生活習慣の中で紳士の帽子も臨機応変に考えれば良いという時代に来たようです。

帽子を取ったらどうするの?
◆一番正式で型崩れしない持ち方は、国家斉唱などで見かけるあのやり方です。
右手で帽子のトップ(クラウン)を持ち、左胸の上で支えるようにそっと置きます。
しかし普段ではちょっと大げさなので、普通に持ちたい時はトップを身体の方に向け、その内側にそっと手を添えて持つのが一番いい方法でしょう。

手で下げて持つ場合は、クラウンのリボンの結び目あたりを軽く持ってください。
ただし、人ごみで人に当たりそうな場合やデパートでは頭にかぶっている方が邪魔にならず安全です。

一番いけないのはツマミ部分を親指と中指2本で持つこと。
夏物などはつまんだヤマの部分が割れてしまいます。
どうしてもツマミを持つときは、せめて中指を入れて3本指で持ってください。

昔のパナマは柔らかくコシがあり、つまんで持っても決して割れなかったそうです。最近のパナマが割れやすいのはたしかで、それは仕上げノリ(化学合成ノリ)の関係か、草自体が環境汚染などで変化したのか原因はよく分からないようです。

◆さて前回お話したように、室内では帽子を脱ぐのがマナーですから、喫茶店やレストランなどに入って、さてと周りを見渡してポールハンガーなど有ればこれはもう理想的な環境ですね。
となりに空席があればそこへ置くのが一番安心ですが、置くスペースがなければ店の人に頼みましょう。丁寧に応対してくれるお店なら、又来ようと思いますよね。ここで店のが分かったりします。

ホテルなどではクロークに預けますが、その場合はクラウンを下に、つまり逆さまにしてメーカー名と裏地が見えるように裏返して置きます。これはメーカーを誇示して「丁寧に扱って下さい」というためではなく、この中に手袋などを入れておくためなのだそうです。

◆最後に「帽子は両手で扱え」とよく言われます。これは片手だとどうしても形をつぶしてしまうからです。つまり帽子に愛情があるかないかで帽子の扱い方が違ってくるのだから当然の話ですね。


帽子の変遷---時代を超えて受け継がれていく帽子の数々

時代と共に紳士の帽子の形は変化を遂げています。
形だけでなくその硬さも、まず初めはハードなハットから
徐々に柔らかい感触のソフトハットへと変化を遂げました。

◆◆ハードハット◆◆   【トップハット】と【ボーラー】

【トップハット】
ハードに作られたクラウンの高い円筒形の帽子。
素材はシルクやファーフエルト、リボンもシルクやフェルトなど。ビン皮は鹿革か麻が最高級品の証です。
イギリス製の帽子を日本人が被ると前後があき、横が狭くて被れないなど、硬い帽子なので頭の形に合わせることが第一条件です。

始まりは17世紀に流行した「ビバーハット」。
ビバーの皮で作られ、昼にはブラウンやグレーや白が、夜には黒が使われました。ビーバーが絶滅の危機に瀕したため19世紀の初めにシルク素材で作られるようになったのが「シルクハット」です。
以来モーニングコートと縞ズボンと共に用いる紳士の正式礼装用となりました。しかし現代では王室、皇室や社交的な大夜会以外で見ることはないといってもいいでしょう。


時代ごとに流行があり、クラウンの高さ(15cm〜19cm)、そりかえるライン、ブリムのそり加減などさまざまに変化しました。
1823年にはパリでオペラ観劇の時に小脇にかかえて持ちこめるように、折りたたみ式の「オペラハット」のようなめずらしいものまで登場しました。
礼装用の他に競馬やクリケット観戦にも被られ、トップハットはまさに紳士の帽子の代名詞だったのです。

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参考までにモーニングコートを正式な着方を・・・。
絶対に必要なのがサスペンダー。(フォーマルのパンツにベルトは使用しない。)その次に白いポケットチーフと黒のソックス。さらに手にはグレーのスエード製の手袋が正式な装い。(白の布製で代用しても可)
これらの他に、かってはトップハットとステッキが必需品であったそうです。
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【ボーラー】
これもハードに作られたクラウンが半球型のフエルト帽子。
「ボーラー」は英語。「ダービー」は米語。「ムロン」(メロンの意味)は仏語。日本では「山高帽」と呼ばれています。
1850年に英国の帽子屋「ウイリアム・ボーラー」がこの新しい形を作り始め、この名がつきました。
もともとは英国の田舎で乗馬用の帽子として被られたもので、色はグレーや茶色・黒など。
ブリムはまっすぐなものと巻きあがったものがありました。
その後街中や競馬場でも流行しましたが、1930年代になるとすたれ始めました

◆◆セミハードハット◆◆  【ホンブルグ】

【ホンブルグ】
テーパードクラウン(先細りのやま)とセンタークリース(中折れ)、が一番の特徴。ブリムは狭く強くそり返り
グログランリボンなどで縁取りしてある帽子。
ホンブルグの名前の由来はドイツの温泉地。
1889年当時の英国皇太子(後のエドワード7世)が、ホンブルグで密かに流行っていたこの帽子を目にとめ、
愛用するようになったことから広まりました。
英国のチャーチル首相がいつも被っていたのは記憶に新しいところ。

現在ではシルクハットに次ぐドレッシーな帽子で、黒か濃紺なら礼装用のタキシードに合わせて被っても良いとされます。

◆◆ソフトハット◆◆  【トリルビー】と【フェドーラ】と【ボルサリーノ】
柔らかいフエルトで作られた中折れ帽のこと
ハードハットの略帽として登場し、普段用として広く普及したものを総称して「ソフトハット」と呼びます。
19世紀末頃から流行の兆しをみせ、20世紀に入ってから定着したのが柔らかいフエルトのソフトハットです。軽い上に自在に形を変えられる点で優れていたため、日常の帽子として大流行したのです。
中折れと呼ばれるこの帽子が日本に入ってきたのは、明治6〜7年頃のことです。

【トリルビー】チロルハットが原型
1894年にポール・ポターによって劇化されたジョルジュ・デュ・モーレの小説「トリルビー」で被られて人気が出ました。チロルハットよりブリムがソフトで広く反り返り、当時としては新しいタイプの帽子でした。

【フェドーラ】ホンブルグが原型
こちらは1882年にパリで初演されたメロドラマ「フェドーラ」で人気を博した帽子で、クラウンは低くセンタークリースでブリムは両脇が高く巻きあがっていたものでした。

【トリルビー】と【フェドーラ】はよく似ています。
一説にはイギリスでは【トリルビー】と呼び、アメリカでは【フェドーラ】と呼ぶ、とも言われ、またよく似ているが、わずかに【フェドーラ】の方がブリムが広いという別の説もあります。

【ボルサリーノ】
「ボルサリーノ」は1857年創業のイタリアの帽子の名店の名前。
完成されたそのデザインはボルサリーノの名を世界に知らしめ、今やソフトの代名詞になっているほどです。
1969年の映画で、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが主演した『ボルサリーノ』で一躍世界的に名が知られました。
帽子の被り方のお手本にするには必見のものなので1度ご覧になればいかがでしょう。ドロンは正統派で、ベルモンドはサイドを少し上げてイキに…と両者のキャラクターそのものの被り方で楽しませてくれます。
◆◆スーパーソフトハット◆◆
ボルサリーノの「ローラーハット」、ハーバードジョンソンの「クラッシャーハット」に代表される自由に形を変えられる柔らかい帽子。
素材は上質のファーなどで、ブリムの端は切り縁(断ち切り、ロウ・エッジ)、リボンは細くシンプル、丸めて鞄に入れる事もできるものです。クラウンの上部にくぼみをつけて中折れにも、フロントピンチをつけても、丸くへこませてパイ型にも、自分の好みの型に作って被り分けるのが楽しい帽子です。


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